指圧師という仕事は本当にささやかな目立たないもの、それでも一応医療の末端で働かせて
頂いてるためか、末期のガンで苦しんでる方や現在の医学レベルでは、十分な対応が出来ない
難病の方からのご依頼を頂くこともあります。勿論、指圧で治せるわけではなく依頼されるほうも
少しでも痛みが和らげばという事なのですが・・・・・・
ただ数多くそうした指圧を経験してくると、奇跡とまでは言わないまでも人間の持つ自然治癒力の
凄まじさに驚かされることもあります。

静岡にお住まいという方からの突然の電話、仕事の性質上、全国の方時には海外の方からの
お問い合わせもあるのですが、静岡の方は初めて・・
余談ですが、私の高校は大阪の明星高校！ご存知ない方の方が多いと思いますが当時は
とにかくサッカーの強いとこで、全国制覇した時の相手が静岡の高校、その時の強烈な
印象も手伝ってか静岡の方というとなんとなくお友達感覚にすぐなってしまうようで・・・

末期ガンのおじいちゃんのお世話に毎日ご苦労されてるという娘さんからのお電話。１ヶ月前に
退院したばかりとのこと、但しそれは良くなったからではなく、もう病院としても治療のしようがなく
ご本人の希望で最後は自宅にいたいということで。

尊敬する立派な先生から「もうこれ以上は・・・」と言われても、頭では理解しても一日でもいい
一時間でもいいからなんとかと思われるのが普通・・・
もうその日からは藁をもつかむ思いでありとあらゆる治療を訪ねられたようで、最後にダメモトで
回されたのが我が家の電話番号・・・後日談ではありますが来てもらえないなら、次は昼間は
八百屋さんをやってるという近所の祈祷師さんに来てもらおうと思ってたとのこと・・・
良かった！順番が祈祷師より先で？

静岡の方とならばこれはもう受けるしかなし！勿論指圧でどうのこうののそんな不遜な考えは
全くなし。これまでの経験上、お手伝いできる事はただ一つ、そのおじいちゃんの持つ
自然治癒力を最高に引き出してくれるキーパースンは誰なのか,折角働こうとしているその力を
邪魔している気の流れの滞りが身体の何処に生じているのか。

それを見つけ出すために指圧師であるこの私の手の感覚、一時とはいえ暗闇の中にあって
フルに回転せざるをえなかった周囲の人々や物にたいする微妙な感覚を総動員するのみ。

結論だけ申し上げるなら滞りはちょっと専門的で申し訳ないのですが、腎経という経絡にあり、
キーパースンはお隣のおばあちゃんでした（おじいちゃんの奥さんは９年前に他界されてます）。

人間不思議なもので自分にとってプラスになる人や物が近くにくると、手の細かい筋肉が
フワーと膨らんでくるようです。その逆はみなさんよく経験なさるのではないでしょうか。
好ましくない人が傍に来たとき思わず身を硬くしてしまうという。その逆の事が起こると考えて
頂ければよいと思います。

おじいちゃんが寝たきりになられてから遠のいていたそのおばあちゃんの来訪、ふとした事で
久しぶりに来られた時のおじいちゃんの手の優しい膨らみ・・出すぎたことと思いつつ、
おばあちゃんにこれからも時々話は出来なくても、ちょっとの間傍にいるだけでいいですから、
寄ってみて頂くようお願いしました。全てがそのおばあちゃんの御蔭とは申しませんが、
おじいちゃん今はとても穏やかに日々過ごされているようで、娘さんもとっても気持ちが
楽になられてるとのこと。

どんな人にも必ず自分を元気づけ勇気づけ、そして自然治癒力を引き出してくれる誰かがいると
信じています。もしかしたら自分自身気づいてないかもしれないけど必ず誰かがいます。
そしてその人は意外と身近なとこにいるそんな気がするのですが・・・・